Orchestration

二管編成のオーケストラとは?
楽器編成と響きの特徴

オーケストラの編成について調べていると、「二管編成」「三管編成」といった言葉を目にすることがあります。

二管編成とは

二管編成とは、基本的にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットという主要な木管楽器を、それぞれ2人ずつ配置することを基準としたオーケストラ編成です。

ただし、「二管編成」という言葉だけで、オーケストラに参加するすべての楽器と人数が決まるわけではありません。金管楽器や打楽器の編成は作品によって異なり、弦楽器についても「各楽器2人」という意味ではありません。

二管編成は、厳密に固定されたメンバー表というより、オーケストラのおおよその規模を表す言葉と考えると分かりやすいでしょう。歴史的な作品を見ても、同じ二管編成に分類される作品の間で使用楽器には違いがあります。

二管編成の基本的な楽器編成

典型的な二管編成では、木管楽器は次のようになります。

フルート2

オーボエ2

クラリネット2

ファゴット2

これにホルンやトランペットなどの金管楽器、ティンパニなどの打楽器、第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスといった弦楽器が加わります。

作品によっては、ピッコロ、イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴット、トロンボーン、チューバ、ハープなどが加わることもあります。そのため、「二管編成なら必ずこの楽器、この人数」と一つに決めることはできません。

「二管」は、すべての楽器が2人という意味ではありません

二管編成でいう「二管」は、主として木管楽器の人数を基準にした呼び方です。第1ヴァイオリンが2人、第2ヴァイオリンが2人、ヴィオラが2人……という意味ではありません。

弦楽器には、第1ヴァイオリンの人数を基準にして「8型」「10型」「12型」などと表す方法があります。したがって、同じ二管編成の作品を演奏する場合でも、弦楽器の人数によってオーケストラ全体の人数は変わります。

ホールの大きさ、作品の性格、管楽器とのバランスなどによっても、適切な人数は変わってきます。

二管編成では、どのような響きが作れるのでしょうか

二管編成の魅力の一つは、一つひとつの楽器の音色が聞こえやすいことです。

オーケストラの規模が大きくなると、同じ種類の楽器を重ねたり、多くの楽器を組み合わせたりすることで、大きく厚みのある響きを作ることができます。

二管編成でも力強い響きは作れますが、それと同時に、フルートの明るさ、オーボエの輪郭、クラリネットの柔らかさ、ファゴットの落ち着いた響きといった、それぞれの楽器が持つ音色を生かしやすい編成でもあります。

全員が常に演奏する必要もありません。一つの木管楽器だけを取り出せば、オーケストラの中に独奏のような瞬間を作ることができます。そこへ別の楽器が加われば音色が変化し、さらに弦楽器や金管楽器が加わることで、同じ旋律でもまったく違った表情を作ることができます。

大編成とは違った、透明さや音色の細かな変化を生かせることも、二管編成の特徴です。

同じ楽器が2人いるのは、なぜでしょうか

フルートが2人いるからといって、2人がいつも同じ音を吹くわけではありません。

たとえば、フルート1だけが旋律を演奏し、フルート2は休むことがあります。反対に、2人が同じ旋律を演奏することもあります。楽譜では、このように同じパートを2人で演奏することを「a2」と指示する場合があります。

さらに、Flute 1とFlute 2を別々の声部として使えば、和音を作ることもできます。フルートとオーボエを重ねたり、クラリネットとファゴットを組み合わせたりすることもできます。

1人で演奏する

2人で同じ音を演奏する

2人を別々の声部として使う

ほかの楽器と組み合わせる

「各木管が2人いる」ということは、単純に音量を2倍にするためだけではありません。どの奏者を、いつ、どのように組み合わせるか。そこから多くの音色の可能性が生まれます。

二管編成は古典派のためだけの編成でしょうか

二管編成は、古典派からロマン派にかけて多くの作品で使われてきました。そのため「伝統的なオーケストラ編成」という印象を持つかもしれません。

しかし、二管編成は過去の音楽だけのものではありません。現在でも二管編成を基本とするオーケストラがありますし、現代の作曲家が新しい作品を書くこともできます。

重要なのは編成の大きさそのものではなく、そこにいる楽器をどのように使うかです。同じ二管編成でも、作曲家や作品によって響きは大きく変わります。

Example

二管編成の作品《あさひ》

私が作曲したオーケストラ作品《あさひ(Sunrise)》も、二管編成を基本としています。演奏時間は約2分8秒です。

この作品では、大きな編成による厚い響きを常に作るのではなく、木管楽器それぞれの音色が現れる場面を作っています。フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットへと音楽が受け渡され、それぞれの楽器の音色が短い作品の中で順番に現れます。

二管編成が実際にどのような響きになるのかは、編成表を見るだけでは分かりません。よろしければ、実際の音でお聴きください。

《あさひ》の作品ページを見る →

二管編成についてのよくある質問

二管編成は何人くらいですか?

木管楽器は基本的に各2人ですが、弦楽器の人数や金管・打楽器の編成によって全体の人数が変わるため、「二管編成=何人」と一律には決まりません。

二管編成と三管編成の違いは何ですか?

基本的には、主要な木管楽器を各2人とするか、各3人程度に拡大するかという違いです。ただし三管編成では、3人全員が同じ楽器を担当するとは限らず、ピッコロ、イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴットなどの持ち替え・派生楽器が加わることがあります。

二管編成では弦楽器も2人ずつですか?

いいえ。二管編成の「二管」は主として木管楽器を基準とした呼び方です。弦楽器の人数は別に考えます。

二管編成にトロンボーンは入りますか?

作品によります。二管編成という言葉だけでは、トロンボーンの有無までは決まりません。作曲された時代や作品の性格によって、金管・打楽器の構成は変わります。

ピッコロやイングリッシュホルンが入ったら二管編成ではなくなりますか?

必ずしもそうではありません。奏者がフルートからピッコロ、オーボエからイングリッシュホルンへ持ち替える場合などもあります。そのため、編成表を見る際には「二管」という名称だけでなく、実際に指定されている楽器を確認することが大切です。